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2006年12月11日 (月)

今読んでいる本

水波 誠 著「昆虫-驚異の微小脳」(講談社現代新書)。まだ読み終わっていませんが、感想を書いてみます。

ふだんあまり意識せずに小さなハエを追い払おうとしたり、蚊をたたこうとしたりして、これらの昆虫の素早さにいらだったりしますが、あまりその性能に感心してどうしてこうなのか、などと考えたことはありませんでした。

あの小さなハエの更に小さな脳の中に大きな秘密があるんですね。ヒトや高等動物の目が空間分解能を上げるように進化してきたのに対して、これらの昆虫の目が時間分解能を上げるように進化してきたということに、なるほど、と感銘を受けました。ヒトの目には蛍光灯が50Hzで点いたり消えたりしていることは意識されませんが、ハエから見るとこれははっきり見えるんですね。ですから思いっきり速くハエをたたいたつもりでも、ハエから見るとスローモーションのように見える訳です。時間の長さについて、人の時間感覚が自然界全体に共通のような気がしていますが、実は動物によって随分違う可能性があることに気づかされました。ハエの一生は短いように思いますが、ハエにとってはそれほど短いわけではないかもしれません。

もうひとつなるほどと思ったのは、ヒトと昆虫で嗅覚のレセプターの種類の数が大きく違うにもかかわらず、感度はそれほど変わらず、ものによってはヒトよりもずっと感度がいい点です。昆虫の嗅覚細胞のレセプターは高等動物と同じように各細胞に1種類だそうですが、やはりリガンドを受け取った細胞群のパターンによって微妙な臭いを嗅ぎ分けているのでしょうか。

ヒトゲノムの全塩基配列が決定されてしまうような時代ですが、身の回りにはまだ分かっていないことが随分たくさんあります。(2006/12/11記)

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コメント

>昆虫の目が時間分解能を上げるように進化

うはー!はじめて知ってびっくりです!
私もたいへん感銘を受けました。

人型サイボーグが身体の反応速度と稼働速度を極限まで高めることで、あたかも外界の時間が静止したように見える「加速装置」は、SFではきわめてポピュラーなシステムですが(日本では石ノ森章太郎「サイボーグ009」の専売特許ですね)、これぞまさに自然界の「加速装置」!

フイルムによるムービーカメラで、ブラウン管や車の動輪、あるいは蛍光灯に照らされた被写体を撮影する時には、シャッタースピード(コマ数)と被写体側の周波数をコントロールするのが非常に大変なのですが、ハエたちはその明滅の隙間にいて、あたふたする人間を後目に「一服つけてる」といったところなんでしょうね(笑)。

イカはその「目」だけが体の仕上がり具合とは似ても似つかない進化を遂げているそうです。
生物のありのままの姿に秘められた必然を探る…。うーん、これは本当に興味が尽きることがありませんね!

投稿: かぼ | 2007年1月 5日 (金) 17時52分

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